バイリンガル教育のメリット・デメリット。帰国子女の場合は?

海外駐在で英語圏に住んでいる場合、好き嫌いに関係なく結構早いうちに英語教育をすることになってしまいます。

早くから英語に触れられてラッキーと考える人もいれば、母語の習得に悪影響を及ぼすのでは?と不安になる人も。

結論から言うと、早くから英語教育に限らず、多言語に触れることは悪いことではない。と実感しています。

ただ、やり方を間違えると大変なことになってしまうこともある、ということは知っておいて欲しいです。

そして、どんなに現地で英語がペラペラだったとしても、子どもは子どもの言葉、その年齢の語彙力しかないということも覚えておいてください。

  • 帰国子女って全員バイリンガルになれるの?
  • うちの子英語ペラペラだからもうバイリンガルですよね?
  • バイリンガルってそもそも何?
  • バイリンガルが帰国したらどうなるの?
  • 日本語に影響はあるの?
  • 日本語に影響が出た場合どうすればいいの?

などなど、実体験をふまえていろいろな角度からバイリンガルを見ていきたいと思います。

ちなみにウチの子、特に下の子は、1歳になったばかりで中国に行き、現地のインターナショナルキンダーガーデン入りました。

朝8時~夕方5時くらいまで、キンダーで、中国語と英語で過ごし、家に帰ると寝るまでは日本語で過ごすという、3か国語を毎日毎日浴びていました。

その結果、

  • 中国語は同年代の子供たちと全く同じレベルで読み書き会話ができる状態
  • 英語は、聞くことはできるけど、話すのはそれほど得意ではない
  • 日本語は、不自由なく会話できる。話すときに語順がおかしいときがあった(特に2~3歳の頃)

さらに、成長してその後どうなったかというと、中国からアメリカに行ったことで中国語は完全に忘れてしまいました。

その代わり、英語は普通に話せます。

帰国後5年ほど経っていますが、いまだに映画やYoutubeは字幕なしでもイケてるので、比較的英語は保持しているほうだと思います。

そして日本語も全く不自由なく、それなりの偏差値の学校のテストでも普通に良い点数を取ってくるくらいには育っています。

そんな、英語も日本語も、どうやって覚えて、どうやって維持してきたのか、また、年齢によってどんな変化があるのかなど、実例を挙げて言葉の早期教育のメリットデメリットなど、解説していこうと思います。

目次

バイリンガルってどんな状態?

楽しい学校生活

バイリンガルとは「二言語を話すことや、その人のこと」

そして、バイリンガル教育とは、「母国語の習得・第二言語の習得・母国語と第二言語を用いた教育、という3つの条件を同時に満たした第二言語習得のための教育方法」という定義がされているようです。

ざっくりいうと、二つの国の言葉も(文化も)同じように習得するための教育ということです。

バイリンガルと一言で言っても、実は結構たくさんの種類に細かく分類されています。

わかりやすい二つの分類を紹介します。

日本語・英語の能力差で分類したもの

バイリンガルといえば、英語も日本語もペラペラ話せるイメージですが、二言語がどれだけ話せるのかで分類することができます。

この分類は、ざっくりと4種類に分けられています。

  • 均衡バイリンガル
  • 偏重バイリンガル
  • 受容的バイリンガル
  • 限定的バイリンガル

主に日本語がどれくらい話せるか、英語がどれくらい話せるかの比率で分けられます。

均衡バイリンガル(バランス・バイリンガル)

二言語の能力に差がない状態。

二言語を母国語レベルに、同等に扱うことができる人のことを言います。

いわゆる世間一般が思っている「バイリンガル」
英語も日本語も流暢に話すイメージです。

ただ、一般認識とは裏腹に、均衡バイリンガルはとても少ないと言われています。

二つの言語ともに年齢相応のレベルで話せて、読めて、書けるという子どもは、世界中でも数%未満とも言われています。

偏重バイリンガル(ドミナント・バイリンガル)

どちらかの言語が優位な状態。

二言語の能力に差がある人のことを指します。

この差は人によって大きい、小さいありますが、ほとんどの人が偏重バイリンガルだと言われています。

受容的バイリンガル(パッシブ・バイリンガル)

二言のうち、一つは母国語として流暢に使いこなすことができる。

ただ、もう一つの言語は聞いて理解することはできるが、話すことのできない人のことを指します。

アメリカに行ってしばらくの間、英語を「聞いて理解はできてる」けど「話すことができなかった」状態がまさに受容的バイリンガルです。

海外での生活が短かった子も、受容的バイリンガルになりがちです。

限定的バイリンガル(ダブルリミテッド・バイリンガル/セミリンガル)

両方の言語とも、年相応の一定のレベルに達していない状態のことを言います。

どちらの言語も中途半端な状態。

言いたいことをうまく伝えることができないので、本人もとってもつらいと思います。

また、言語能力が著しく低いということは、思考力・論理的に考える力も育っていないということ。

小さいうちに海外に行って、日本語の勉強をほとんどせずに帰国した場合、将来的に限定的バイリンガルのような状態になる子が多いです。

言葉の技能面で分類したもの

日本でも英語4技能が大事だと言われて久しいですが、「聞く」「話す」「読む」「書く」といった言葉の技能面で分類する方法もあります。

  • 聴解型バイリンガル
  • 会話型バイリンガル
  • 読み書き型バイリンガル

聴解型バイリンガル

「聞く」は2つの言語でできるが、他は1つの言語でしかできないこと。

聞いて理解できるけど、話すことも苦手、読み書きも苦手という状態。

小さい子は耳がいいので、聞いて理解することは比較的簡単にできます。

ただ、会話のキャッチボールができるようになるには、時間もかかります。

会話型バイリンガル

「聞く」「話す」は2つの言語でできるが、「読む」「書く」は1つの言語しかできないこと。

幼児期の場合は結構早い段階で同年代のお友達と対等に話すことができるようになりますが、読み書きはまだあまりできない状態。

小学校4~5年生でアメリカの現地校に通い始めた場合2~3年目くらいから、同年代のお友達と対等に話すことができるようになります。

もっと早くにうちの子は友達と話していた!という方もいるかもしれませんが、何不自由なく、自然に対等に話せるって結構大変です。

そして、日本の勉強をほとんどやらなかった場合、漢字交じりの言葉の読み書きができないといった問題が出てきます。

読み書き型バイリンガル

2つの言語で「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能ができることです。

バイリテラルと言われることもあります。

また、これ以外にも、年齢による分類、例えば、

第二言語の習得時期が子供の頃だったバイリンガルが「早期バイリンガル」、思春期以降であったバイリンガルが「後期バイリンガル」とも言われます。

帰国後どうなるの?小学校低学年で帰国した下の子の場合(中国編)

そんな子たちが日本に帰国した場合、どうなると思いますか?

まずは、1歳前後から約5年間中国に住んでいて、現地幼稚園(一応インターナショナルキンダー)に1歳から通っていた下の子の場合。

中国では中国語はほぼネイティブレベル・日本語も年齢相応の能力を持っている 均衡バイリンガル に近い状態でした。

とはいっても、5歳児の年相応のバイリンガルです。

いくらペラペラだと言っても、5歳の語彙力しか持ち合わせていないということは、基本的には使い物にならないレベルです。

さらに、帰国が決まったのは小学校1年生の夏休み後くらい。

日本に帰国したとたん、あんなに日常的に話していた中国語をすべてきれいさっぱり忘れてしまいました。

日本語しかできない状態になってしまったので、モノリンガル(単一の言語しか話せない)になりました。

帰国したらどうなるの?小6で帰国した下の子の場合(アメリカ編)

次に、小1から小6までアメリカの現地校に行っていた場合の帰国後です。

一応、中国にいたときも、インターナショナルキンダーだったので、英語は多少「聞く」ことはできました。

英語に関しては完全に「聴解型バイリンガル」です。

約5年のアメリカ現地校生活で、英語はほぼネイティブレベル・日本語も年齢相応の能力を持っている 均衡バイリンガル に近い状態にまでなりました。

中学受験で帰国して、もうすでに5年以上経過していますが、ある程度の英語維持ができています。

帰国したらどうなるの?中3で帰国した上の子の場合

上の子の場合、4歳から小3まで中国で過ごしていましたが、インターナショナルキンダーに行っていたのが約2年間。

下の子ほど中国語は流暢ではなかったにもかかわらず、いくつかよく使っていた単語や言い回しは覚えていました。

そして、小4~中3までアメリカの現地校に通っていました。

やはり、年齢的にも下の子よりも英語を習得するのが大変でしたが、

その分しっかり定着されているので、帰国後5年以上たってもある程度は維持しています。

ただ、下の子もそうですが、英語に力を入れている学校に通っていたので維持できているというのが正しいのかもしれません。

帰国後どうするのか、どこを目指すのかを親子で考える

タブレットで勉強する親子

子供をバイリンガルに育てたい!と、最初から強い意志を持って子供に英語を習わせているのと違って、たまたま、海外育児をすることになったというケースが多い駐在家庭。

現地の学校に通っていたら、自然に英語が話せるようになっていた。

なんか友達ともペラペラ話しているから、このままバイリンガルになれるんじゃない?っていうかもう立派なバイリンガル!

と思うのも無理ありません。

そうなんですよ、その時点では立派なバイリンガルなんです。

でも、ウチの下の子のように5歳だったら5歳児程度の語彙力しか持ち合わせていないバイリンガルなんです。

なので、

  • いつごろ帰国するのか
  • その時何歳か
  • 帰国後英語教育はどこまで時間とお金をかけられるのか
  • 英語以外の教育にどれくらいお金と時間をかけられるのか

を一度しっかりと考えておくといいかもしれません。

英語を話す目的は?

そしていちばん大切なのは、英語を話す目的を考えるということ。

帰国後の年齢や滞在期間にもよりますが、海外駐在2~3年、小学生で帰国とかだと、英語維持は結構大変です。

もし、帰国後も同じレベルでの英語維持をするのであれば、いちばんいいのはインターナショナルスクールに通うこと。

アメリカの現地校と同じカリキュラムで同じだけの英語利用が必要です。

そこまでできないというのであれば、

会話力をできるだけ維持したいなら→英会話スクールへ

受験に生かしたいなら→英語資格を取る

というように、英語で何をしたいのかの優先順位を決めるといいかもしれません。

帰国後何もしなければ、本当にあっという間に英語は忘れます。

できるだけ間をあけないように、英会話スクールに通いながら、時期が来たら英語資格を取るというように、継続することが大事だと思います。

注意するのはセミリンガル(ダブルリミテッド)

帰国子女で一番注意したいのが、日本語も英語も年齢相応のレベルまで達していないというセミリンガルになってしまうこと。

ちょっと難しい話になりますが「認知学習言語能力(年齢相応の国語力)」と「日常的な会話(言語)能力」を分けて考える必要があります。

日常的な会話能力というのは、だいたい1~2年で身につくと言われています。

生まれたての赤ちゃんがことばを話し始めるのと一緒。

幼児の会話であれば語彙も少ないのですぐ身につきますよね。

中学生の会話であれば、語彙も多いし、複雑になってくるので2年以上かかってしまうこともあります。

もう一つの認知学習言語能力(CALP: Cognitive/Academic Language Proficiency)というのは、相手の言っていることや気持ちを理解したり、論理的に物事を考えたり、相手の言い分を考えつつ自分の意見を言うことができるようになる能力のこと。

定型文的な日常的な会話能力と違い、かなり高度な能力になるので、習得までに6年〜10年ほどかかると言われています。

だいたい、教科書を読んで作者の気持ちを考えるような質問に答えられるのが小学校3年生前後だと思えば納得です。

たとえば、途中で日本から英語圏に移った場合、最初の1~2年で「英語での日常的な会話能力」を身につけて、そこから徐々に「英語での認知学習言語能力」を身につけていきます。

たとえば、小学校1年生の時に英語圏の現地校に通うことになった場合。

特に最初は、現地校の授業についていけるように、日本の勉強はおろそかになりがちです。

1~2年もすれば、英語での日常的な会話能力も徐々についてきて、そこから英語の認知学習言語能力も少しずつ育っていきます。

が、日本語の認知学習言語能力は日本にいたときの小学校1年生のレベルで止まっています。

その後、例えば中学生で帰国した場合。

小学校1年生から1~2年で英語での日常的な会話能力がつき始め、そこから6~10年くらいかけて英語での認知学習言語能力が育ってくることを考えると、認知学習言語能力は年齢相応まで育っていないことになります。

計算上、英語の認知学習言語能力は小学校1~3年生くらいのレベルです。

ということは、中学生レベルの日常的な会話能力はあるけれど、認知学習言語能力は小学校低学年のまま。

という事態になってしまいます。

セミリンガルになったらどうすればいいの?

まず、いちばん気を付けたいのは、日本の学校の勉強は必ず続けること。

永住するのであれば、日本の勉強よりも現地校の勉強を最優先したほうがいいと思いますが、駐在の場合必ず帰国しますよね。

日本語で考えて、日本語で問題を解いて、日本語で説明ができて…という状況を作ることがとても大切だということを知っておいてください。

海外の現地校に馴染むために、英語を話す努力はとても大変だと思います。でも、日本の勉強も頑張ってください。

そしてもし、セミリンガルになりそうな傾向があったら、まずは日本語の勉強をしっかりやること。

母語での認知学習言語能力が年相応に育ってくれば、英語は後からでも十分学べます。

その時におすすめしたいのが、無学年学習です。

海外と日本の学習進度は全く違います。

特に、認知学習言語能力に乖離がある場合、問題が読めても意味が分からないということは多々あります。

そんな時に「年齢相応の」学習をやろうとしても、勉強が嫌いになるだけ。

おすすめは、小1から中3までの範囲であれば、さかのぼって学習することができる通信教育【すらら】です。

他にも無学年学習を採用している通信教育はありますが、「すらら」の場合、小学校1年生から中学校3年生までの範囲という、かなり広い範囲の垣根を超えて学習できる優れもの。

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また、通信教育よりも、対人の指導のほうが安心できる要素もたくさん。

帰国子女や海外子女への指導経験が豊富なオンライン家庭教師を検討してみるのも一つの案です。

どちらにしても、個人で何とかしようとするのは限界があります。

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バイリンガル教育のメリット・デメリット。帰国子女の場合は?:まとめ

幸せな家族

こんかいは、バイリンガルってどんな種類があるの?というところから、気を付けたいセミリンガルについてお話をしてきました。

ウチの場合、中国でもアメリカでも、ずっと通信教育は続けていましたし、塾にも通っていました。

そして、帰国後は英語にかなり力を入れている学校に入学したので、英語も比較的維持しつつ、年齢相応の認知学習言語能力もついていると思います。

せっかくの海外での経験や学習を活かしてあげたいと思うのが親心。

ぜひ一度、バイリンガル教育について、家族で話し合ってみませんか?

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海外で仲良くしてもらっていたたくさんのお友達にも協力してもらって、普通の人の帰国後体験をまとめました。

ネットではなかなか出てこない、小学生の時に帰国したこの話や普通の地元の公立中学校に行ったこの話など、渋幕や慶応、早稲田といった有名私立のエスカレーターじゃない、普通に地元の学校から高校受験・大学受験をした子の体験談です。

ぜひ、気楽に読んでみてください。

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